いよいよ受験が目前に迫ってきました。
私が専門としていた中学受験は、埼玉県は1月10日、千葉県は1月20日、東京都・神奈川県は2月1日から入試が始まります。
大学受験ではセンター試験がもうすぐですね。
受験生たちは最後の追い込みの時期です。
過去問をやっていて、まだ合格者最低点に届かず落ち込んでいる子、嘆いている親御さんがたくさんいらっしゃることと思います。
残された期間出来できることは何なのか、今日はそれを書きたいと思います。
お守りを作る
中学受験は多くの子にとって初めての受験です。受験がどういうものなのか、よくわからない状態で戦わなくてはいけません。
自分の力が通用するのか、落ちたらどうしよう、漠然とした不安に襲われます。
受験を終えた6年生に、「ここまでやったから大丈夫かな」と思えたのはいつ?と聞いてみたところ、「そんなのあるわけないじゃん!ずっと不安しかなかったよ!」と怒られました。
問題用紙が配られて開始のチャイムが鳴るまでの間、普段より大きな自分の鼓動が聞こえたそうです。
そんな時、「あのテキストを全部仕上げたんだから大丈夫!」と自分で自分を励ましたそうです。
その子のお母さんからは、「会場を出てきたあの子の顔を見せてあげたかったです。『できた!』って晴れ晴れとした顔で出てきました」と言われました。
結果は見事合格!
受験勉強ではあたりまえになっていますが、各教科で「この1冊は大丈夫!」というものを作ることは心の支え、つまりお守りになります。
誰かにもらったお守りもいいのですが、自分のこれまでの努力の積み重ねなが形になったものなので効果は抜群です。
以前、生徒には「完璧になった単元は蛍光ペンで線を引いておこう」と伝えていました。
自分がどれだけ成長したかが一目でわかりますし、すべてが蛍光ペンで塗られたら自信になります。
試験会場に持って行って、休み時間でその目次のページを見るだけでもいいと思います。
これまで使ってきたテキストで一番仕上がっているものを使うのが理想ですが、それがない場合は市販の薄いテキストでも構いません。
まだ仕上げる時間はあります!
あれもこれもと焦る前に、まずは1冊を仕上げる。これが大事です。
中学受験だけは、「また来年頑張ろう!」が出来ません。
だからこそ、「これだけたくさんやってきたな」と思い返すものがあるといいでしょう。
子どもよりも不安になってしまうのが親御さんですが、親御さんにとっても有効です。
「一緒にこれだけのことをやってきたなー」とか、「この子は今までこれだけのことをやってきたんだから大丈夫!」と、親御さんも自信を持って試験に臨んでください。
大人がどっしり構えていることはとても重要です。
・「この1冊は大丈夫!」というものを作る
・完璧になった単元は蛍光ペンで線を引いておこう
・試験前にやってきたことを見返す(大人も)
・大人はどっしり構える
過去問とこれまでやったことの結びつけ
算数で1冊のテキストを仕上げたのに、過去問で点数が取れないという子がいます。
やった過去問の解きなおしもきちんとやっています。
にもかかわらず点数が伸びない。非常に焦ります。
なぜ伸びないのでしょうか。
それは、「この問題はどうやって解くんだろう?」と毎回初見の問題として考えてしまうからです。
お守りとなる1冊が仕上がっているのであれば、その子の中で積みあがっているものは確実にあります。
しかし、その経験を使わずに毎回0から考えようとします。
また、解きなおしにしても「この問題はこう解く」というように、問題と解放が1対1でしか結びつけません。
なので、できるようにするにはその逆をすればいいのです。
「この問題を解くのに、今までやったことで使えそうなことはないかな?」と思い出します。
解きなおしをするときには、仕上げたテキストのうち、どの解法を組み合わせればよかったかを書き込んでおくとよいでしょう。
・目の前の問題と、結びつけられる経験がないかを探す
・解きなおしの際は仕上げたテキストを開いて似ている問題を探し、その解法も見ておく
過去問をやりっぱなしにしない
過去問と、今までにやった問題を結びつけるのは大事ですが、ただ過去問をやって一喜一憂するだけで終わることは避けましょう。
確かに勉強した気にはなりますし、点数が取れれば自信にはなりますが、全く同じ問題は出ません。
過去問が取れたことは、本番でも取れる保証にはなりません。
公立高校受験であれば、ある程度型が決まっていますので、過去問を繰り返す意味はありますが、それもある程度仕上がった土台があってこその話です。
中学受験や私立高受験、大学受験では時間内に満点を取らせないための問題も入れています。
そういった問題の解きなおしは行わず、自分が取るべき問題の解きなおしと、これまでの問題との結びつけを行っていけば、力はついてきます。
インフルエンザにかかってしまったら?
インフルエンザにはかかります。
家族全員でどんなに予防をしていようが、予防接種をしていようが、かかるときにはかかります。
そう思っておきましょう。
インフルエンザになったら、「ここでしっかり休んで体力を回復させられる!」と前向きにとらえることが大切です。
それを事前に家族で共有しておくとなおよいでしょう。
なお、受験とインフルエンザが重なっても試験は受けられます。
学校に、「熱があるので保健室受験をさせてください」とお願いしましょう。
ポイントは、「インフルエンザです」とは言わないことです。
まあ、学校側もそこは察してくれるので大丈夫です。
インフルエンザにかかろうが、縁があれば受かる。それが受験です。
やはり大人はどっしり構えましょう。
気休め程度ですが、健康管理には以下の記事もご覧ください。

直前は学校を休んだ方がいいの?
こんなことを言うと身もふたもないのですが、休んだ方がいいかは人によって異なります。
大切なのは「いつも通りでいること」です。
学校の友達といて、適度に体を動かすことでいつも通りを保てるのであれば行った方がいいです。
逆に、塾の自習室などで勉強するリズムが出来ているのであれば、学校を休むのもありでしょう。
ただし中学受験場合、12歳の子どもはフルパワーで勉強し続けられる時間が限られています。
あまり早くから学校を休んでビッチリ勉強していると、本番直前にエンストする場合があるので注意しましょう。
お子様の様子を見ながら適度に体を動かしたり、学校に行くなどさせてバランスを取りましょう。
いずれにしても避けるべきは、直前に環境を変えることです。
私はセンター試験前日だけ学校を休みました。
すると普段よりも体力を使わなかったので、夜はなかなか寝付けず、寝不足のまま試験に臨んでしまいました。
やるべきこととのバランスを考えて、「いつも通り」でいられるための最良の選択をしましょう。
おわりに
受験生やそのご家族にとって、今が一番不安で苦しい時期だと思います。
しかしその不安の中でこそ本気で「出来るようになりたい」という気持ちも強くなります。
そして大きく成長します。
本気でやったことは、どんな結果になろともその後の人生の糧になります。
本気でやって第一志望に合格した子、本気でやったけど第三志望にしか受からなかった子、どちらも知っていますが、どちらの子も充実した学校生活を送り、魅力的な大人になっています。
「やってよかった!」胸を張ってそう言える受験になることを祈っています。
